「附則」に関する形式上の注意

条建て附則と項建て附則

 本則と同様、附則にも、条建ての場合と項建ての場合があります。かつての法令では附則は常に項建てとされていましたが、現在は、附則が短く簡潔な場合には項建て、長く複雑な場合には条建てとすることが適切と思われます。もっとも、今に至るまで、明確な基準はありません。
<1項のみからなる附則の例> 
 この条例は、公布の日から施行する。

この場合、「見出し」や項番号の「1」は付しません  
<項建ての附則の例> 
 (施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
 (経過措置)
2 この条例の施行の際現に・・・・

※ 見出しは付しても付さなくても問題ありませんが、項が多い場合には付したほうが適切と思われます。
<条建ての附則の例> 
 (施行期日)
第1条 この条例は、公布の日から施行する。ただし、次にの各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
 (1) ・・・・・・・
 (2) ・・・・・・・
 (3) ・・・・・・・
 (経過措置)
第2条 ・・・・・・・・・・

「抄」

 法令集では、附則が次のように表示されていることがあります。これらは、附則の法令集への収録に際し、他の法令の改正規定等の必ずしも掲載が必要でない条項を、省略しているものです。掲載を省略しているだけで、実際にはその条項は存在しています。このとき、その附則には「抄」と表示し、省略していることを示します。
<1項しか無いのに「見出し」や項番号の「1」が表示されている> 
   附 則 平成○年○月○日条例第○号 
1  この条例は、公布の日から施行する。
   附 則 平成△年△月△日条例第△号
 ・・・・・
※ 附則第2項以降の掲載を省略している。
<条や項の番号が飛んでいる>
   附 則 平成○年○月○日条例第○号 
 (施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
 (経過措置)
4 ・・・・・・・・・・・・・・・

※ 附則第2項、第3項の掲載を省略している。
 なお、これらは、法令集の編纂の便宜のためのものであり、法制執務上の決まりごとではありません。
 『じょうれいくん』では、省略したい条項を編集画面の[付加情報]ボタンから「抄設定」することで、こうした表示を行うことができます。

原始附則(制定附則)と改正附則

 通常、法令集に掲載されている法令の末尾には、次のように、本則に続いて「附則」がいくつも記載されています。
<例> 
第○条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は・・・
   附 則 
 この条例は、公布の日から施行する。
   附 則 平成○年○月○日条例第○号
 この条例は、公布の日から施行する。
   附 則 平成△年△月△日条例第△号
1 ・・・・・・・・・・・・・・・
2 ・・・・・・・・・・・・・・・
 これらの附則のうち、最初にある最も古い一つが、通称として「原始附則」又は「制定附則」と呼ばれます。これはその法令の制定当初の附則であり、本則と一体である附則です。
 これに対し、二つ目以降の附則は通称として「改正附則」と呼ばれます。これらはその法令に対する改正法令(一部を改正する法令、整理に関する法令など)の附則部分のみを、逐次追記していったものです。このように改正対象の法令の末尾に追記しているのは、施行日や経過措置を確認する便宜のために法令集の編纂者が行なっているものであり、必ずしも法制執務上の決まりごとではありません。
 そして、「本則+原始附則」と、それぞれの「改正附則」は別個の法令ですので、「本則+原始附則」と「改正附則」、或いは「改正附則」どうしを同時に改正する場合には、一つの改正規定中で改正を記述することはできず、別個の改正により改正するか、一括法(条建て)の形式で改正する必要があります。
<一括法とした例>
   ○○○○条例等の一部を改正する条例
 (○○○○条例の一部改正)
第1条 ○○○○条例(平成○年○○市条例第○号)の一部を次のように改正する。
 第□条中・・・・・・・
 (○○○○条例の一部を改正する条例の一部改正)
第1条 ○○○○条例の一部を改正する条例(平成△年△△市条例第△号)の一部を次のように改正する。
 附則第■条中・・・・・・・
   附 則
 この条例は、・・・・・・
 
(※この場合は改正対象が二つでも題名は「○○○○条例及び○○○○条例の一部を改正する条例」ではなく「○○○○条例の一部を改正する条例」とするとされています。)
 『じょうれいくん』では、このような場合までは改正文を自動作成できず、改正附則の改正については区切られた形で出力いたします。 お手数ですが、適宜修正の上でご利用ください。

 また、改正法令が一括法だった場合は、改正対象の法令全てに、同一の改正附則が追記されることになります。その際、法令によっては掲載不要な条項もあるため、附則を「抄録」とし、掲載を省略しますが、これも法制執務上の決まりごとではなく、法令集の編纂上の便宜のためです(上述の「」をご参照ください。)。
 
 なお、法制執務上、改正附則たる一部改正法令は、改正対象の法令と別個の法令ではあるものの機能としては実質的に一体であるため、改正対象の法令が廃止された場合は、特に廃止の手続きをとらずとも当然に効力を失うとされています。



以上