○鳥取県文化芸術振興条例
平成15年10月14日
鳥取県条例第53号
鳥取県文化芸術振興条例をここに公布する。
鳥取県文化芸術振興条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 文化芸術の振興に関する基本的施策(第6条―第16条)
第3章 鳥取県文化芸術振興審議会(第17条―第22条)
附則
豊かな自然と歴史に恵まれた鳥取県には、古くから先人達がはぐくんだ伝統と個性のある文化芸術や美しい風土がある。
しかるに、地域固有の伝統的な芸能等の鳥取県の独自の文化芸術は、戦後の経済優先の生活の中で、県民から徐々に忘れ去られつつあった。
こうした中、私たちは、平成14年に本県において開催された国民文化祭を契機として、文化芸術が私たちの生活に潤い、豊かさ、活力等を与える限りない力を持つ大切なものであることを再認識するに至った。
今こそ、県民一人一人が文化芸術を実践し、これに親しみ、触れ、これを支えていくことによって、心豊かで潤いのある県民生活及び個性豊かで活力ある社会の実現に向けた取組を行っていくことが重要である。
また、文化芸術を鑑賞し、これを創造するとともに、これに対する理解及び関心を深めることは、県民すべての願いである。
ここに、私たちは、文化芸術の振興についての基本理念を明らかにしてその方向を示し、文化芸術の振興に関する施策を総合的に推進するため、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、文化芸術の振興に関し、基本理念を定め、並びに県及び市町村の責務を明らかにするとともに、文化芸術の振興に関する施策の基本となる事項を定めることにより、文化芸術の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって心豊かで潤いのある県民生活及び個性豊かで活力ある社会の実現に寄与することを目的とする。
(基本理念)
第2条 文化芸術の振興に当たっては、県民一人一人が身近に文化芸術に触れ、かつ、親しむことができるような環境の整備が図られなければならない。
2 文化芸術の振興に当たっては、県民一人一人の自主性及び創造性が尊重されなければならない。
3 文化芸術の振興に当たっては、多様な文化芸術の保護及び発展が図られなければならない。
(県の責務)
第3条 県は、前条の基本理念にのっとり、文化芸術の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2 県は、地域における文化芸術の振興に市町村が果たす役割の重要性にかんがみ、文化芸術の振興に関する施策の推進に当たっては、市町村との連携に努めるとともに、市町村がその地域の特性に応じた文化芸術の振興に関する施策を策定し、及び実施するための支援その他の必要な施策を講ずるよう努めるものとする。
3 県は、文化芸術の振興に関する施策の推進に当たっては、国又は地方公共団体以外のもの(以下「民間団体等」という。)の有する人材、情報その他の能力を活用する等民間団体等との連携に努めるものとする。
(市町村の責務)
第4条 市町村は、文化芸術の振興に当たっては、県との連携を図りつつ、自主的かつ主体的に、地域住民一人一人が身近に文化芸術に触れ、親しみ、創造的な活動を行うことができるような施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。
(意見の反映等)
第5条 県は、文化芸術の振興に関する施策の策定及び実施に当たっては、文化芸術に関する活動(以下「文化芸術活動」という。)を行う者その他の県民の意見を十分に反映するよう努めるものとする。
2 県は、県の施策の策定及び実施に当たっては、文化芸術の視点に立って行うよう努めるものとする。
第2章 文化芸術の振興に関する基本的施策
(県民の鑑賞等の機会の充実)
第6条 県は、広く県民が文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造する機会の充実を図るため、文化芸術の公演、展示等への支援、これらに関する情報の提供その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術活動の充実及び担い手の育成)
第7条 県は、文化芸術に関する創造的活動を行う者、伝統芸能の伝承者及びこれらの文化芸術活動の指導者並びに文化芸術活動を担うべき団体の育成を図るため、文化芸術活動の場及び情報の提供並びに文化芸術に関する研修等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(高齢者等の文化芸術活動の充実)
第8条 県は、高齢者、障害者等の文化芸術活動の充実を図るため、これらの者の文化芸術活動が活発に行われるような環境の整備その他の必要な施策を講ずるものとする。
(子どもの文化芸術活動の充実)
第9条 県は、本県の将来を担う子どもが行う文化芸術活動の充実を図り、その後継者を育成するため、子どもを対象とした文化芸術の公演、展示等への支援、子どもによる文化芸術活動への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(学校教育における文化芸術活動の充実)
第10条 県は、学校教育における文化芸術活動の充実を図るため、文化芸術に関する体験学習等の文化芸術に関する教育の充実その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術交流の推進)
第11条 県は、文化芸術に関する国内外の交流を推進するため、必要な施策を講ずるものとする。
(文化芸術施設の充実)
第12条 県は、文化芸術に関する公演、展示等を行うための施設(以下「文化芸術施設」という。)の充実を図るため、文化芸術施設を新たに設置する民間団体等に対し、施設の整備への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(伝統的な芸能等の継承及び発展)
第13条 県は、本県の地域固有の伝統的な芸能及び民俗的な芸能の継承及び発展を図るため、これらの公演等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(文化財の保存及び活用)
第14条 県は、有形及び無形の文化財の保存及び活用を図るため、文化財に関し、修復、公開等への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。
(顕彰)
第16条 県は、文化芸術活動で顕著な成果を収めた者及び文化芸術の振興に寄与した者の顕彰に努めるものとする。
第3章 鳥取県文化芸術振興審議会
(設置等)
第17条 知事の諮問に応じて文化芸術の振興に関する事項を調査審議させるため、鳥取県文化芸術振興審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、文化芸術の振興に関する事項について、県の支援の在り方を含め、知事に意見を述べることができる。
(組織)
第18条 審議会は、委員10人以内で組織する。
(委員)
第19条 委員は、文化芸術に関し学識経験を有する者のうちから、知事が任命する。
2 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
3 委員は、再任されることができる。
(会長)
第20条 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 会長に事故があるとき、又は会長が欠けたときは、あらかじめ会長が指名する委員がその職務を代理する。
(会議)
第21条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(雑則)
第22条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、審議会が定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。