○鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例

平成25年3月26日

鳥取県条例第6号

鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例をここに公布する。

鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例

目次

第1章 総則(第1条―第4条)

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策(第5条―第8条)

第3章 薬物の濫用の防止のための規制(第9条―第15条)

第4章 雑則(第16条)

第5章 罰則(第17条―第20条)

附則

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、薬物の濫用の防止について、県及び県民の責務を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項及び必要な規制を定めることにより、薬物の摂取による健康及び安全に対する被害の発生を未然に防止し、もって、県民生活の安全及び平穏の確保を図り、県民が安心して暮らすことができる地域社会を維持することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において「薬物」とは、次に掲げる物をいう。

(1) 大麻取締法(昭和23年法律第124号)第1条に規定する大麻

(2) 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)第2条第1項に規定する覚醒剤及び同条第5項に規定する覚醒剤原料

(3) 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年法律第14号)第2条第1号に規定する麻薬、同条第4号に規定する麻薬原料植物(以下「麻薬原料植物」という。)及び同条第6号に規定する向精神薬

(4) あへん法(昭和29年法律第71号)第3条第1号に規定するけし(以下「けし」という。)、同条第2号に規定するあへん及び同条第3号に規定するけしがら

(5) 毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定するトルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料

(6) 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号。以下「医薬品医療機器等法」という。)第2条第15項に規定する指定薬物

(7) 前各号に掲げる物と同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼし、人の健康に対する被害が生ずるおそれがある物であって、人が摂取し、又は吸入するおそれがあるもの(酒類、たばこ及び医薬品医療機器等法第2条第1項に規定する医薬品を除く。以下「危険薬物」という。)

(平26条例45・平28条例58・令2条例3・一部改正)

(県の責務)

第3条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策を総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

2 知事は、次に掲げる措置をとるものとする。

(1) 大麻取締法第1条に規定する大麻草の栽培の免許はしない。

(2) 麻薬原料植物の栽培を行おうとする者に対しては、麻薬及び向精神薬取締法第2条第20号に規定する麻薬研究者の免許はしない。

(3) 厚生労働大臣に対するけしの栽培の許可の申請については、許可すべきではない旨の意見を付す。

(平28条例58・一部改正)

(県民の責務)

第4条 県民は、薬物の濫用の危険性に関する知識と理解を深め、薬物の摂取による健康及び安全に対する被害を生じさせないよう努めなければならない。

2 県民は、薬物の濫用の防止に関する県の施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 薬物の濫用の防止に関する基本的な施策

(県民運動)

第5条 県は、県民に対する情報提供、啓発その他必要な施策を講ずることにより、薬物に対する理解及び関心を深め、薬物の濫用の防止に県民全体で取り組む運動(以下「県民運動」という。)を推進するものとする。

2 県民は、薬物の取引に関する情報を警察官その他の県職員に提供すること等により、薬物の濫用の防止に県民全体で取り組むものとする。

(平26条例45・一部改正)

(推進計画の策定)

第6条 知事は、県民運動を推進するため、鳥取県薬物濫用対策推進計画(以下「推進計画」という。)を策定する。

2 推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 薬物の濫用を防止するための教育、学習及び啓発活動の推進に関すること。

(2) 薬物の濫用に対する監視、指導及び取締りに関すること。

(3) 薬物依存その他の薬物の濫用に対する相談及び支援に関すること。

(4) その他薬物の濫用を防止するために必要な事項

(平26条例45・一部改正)

(推進体制の整備)

第7条 県は、県民運動その他の薬物の濫用の防止に関する施策の総合的な推進を図るため、必要な体制を整備するものとする。

(国等との連携等)

第8条 県は、薬物の濫用の防止に関する施策の推進に当たって、国、他の地方公共団体及び薬物の濫用の防止を目的とする団体との連携及び協力を図るものとする。

2 県は、薬物の濫用を防止するため必要があると認めるときは、国に対し意見を述べ、必要な措置を執るよう求めるものとする。

第3章 薬物の濫用の防止のための規制

(指定)

第9条 知事は、危険薬物が次のいずれかに該当すると認めるときは、薬物の専門家の意見を聴いて、当該危険薬物を知事指定薬物に指定することができる。

(1) 人の精神に及ぼす興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用が第2条第1号から第6号までに掲げる物と同等であると特定されている物

(2) 前号に掲げるもののほか、第2条第1号から第6号までに掲げる物と同等に、興奮、幻覚、陶酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼすことが確認されている物

2 知事は、名称、形状、表示内容、販売方法その他の情報から、知事指定薬物の指定を検討する物を知事指定候補薬物に指定することができる。

3 知事は、第1項の規定により知事指定薬物を指定するときは、その旨を公示しなければならない。前項の規定により知事指定候補薬物を指定するときも、同様とする。

4 知事指定薬物及び知事指定候補薬物の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。

(平26条例45・一部改正)

(指定の失効等)

第10条 知事指定薬物の指定は、知事指定薬物が第2条第1号から第6号までに掲げる物に該当するに至ったときは、その効力を失うものとする。

2 知事指定候補薬物を製造し、栽培し、販売し、又は授与する者は、知事指定候補薬物の指定に不服があるときは、当該指定を解除するよう申し立てることができる。

3 前項の規定による申立ては、次の書類を知事に提出してしなければならない。

(1) 住所及び氏名並びに法人にあっては、その代表者の住所及び氏名を記載した申立書

(2) 知事指定候補薬物を製造し、栽培し、販売し、又は授与する場所を示す図面

(3) 人の健康に対する被害が生じないことを証明するに足りる書類

(4) その他規則で定める書類

4 知事は、第1項の規定により知事指定薬物の指定がその効力を失ったときは、その旨を公示しなければならない。知事指定候補薬物の指定を解除したときも、同様とする。

5 第5章の規定は、第1項の規定により知事指定薬物の指定の効力が失われる前にした行為についても、適用する。

(平26条例45・一部改正)

(危険薬物の製造等の禁止)

第11条 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。

(1) 規則で定める正当な理由がある場合を除き、危険薬物を製造し、又は栽培すること。

(2) 規則で定める正当な理由がある場合を除き、危険薬物を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列すること(県の区域外における販売又は授与の目的で貯蔵し、又は陳列する場合を含む。)

(3) 医事若しくは薬事又は自然科学に関する記事を掲載する医師、薬剤師その他の医薬関係者又は自然科学に関する研究に従事する者向けの新聞又は雑誌により行う場合を除き、危険薬物の広告を行うこと。

(4) 規則で定める正当な理由がある場合を除き、危険薬物を購入し、受領し、又は所持すること(第2号に掲げる行為を除く。)

(5) 危険薬物をみだりに摂取し、又は吸入すること。

(6) 危険薬物を多数の者が集まってみだりに摂取し、又は吸入することを知って、そのための場所を提供し、又はあっせんすること。

(平25条例58・平26条例17・平26条例45・一部改正)

(知事指定候補薬物の販売等の届出)

第12条 知事指定候補薬物を販売し、又は授与した者は、販売し、又は授与した日から起算して10日以内に、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

(1) 販売し、又は授与した知事指定候補薬物の名称及び数量

(2) 知事指定候補薬物を購入し、又は受領した者の住所及び氏名

(3) 知事指定候補薬物を販売し、又は授与した店舗の名称及び所在地並びに特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)第2条第2項に規定する通信販売により販売した場合にあっては、その旨

(4) その他規則で定める事項

2 知事指定候補薬物を購入し、又は受領した者は、購入し、又は受領した日から起算して10日以内に、次に掲げる事項を知事に届け出なければならない。

(1) 購入し、又は受領した知事指定候補薬物の名称及び数量

(2) 知事指定候補薬物を購入し、又は受領した目的

(3) 知事指定候補薬物を販売し、又は授与した者の住所及び氏名

(4) 知事指定候補薬物を購入し、又は受領した場所

(5) その他規則で定める事項

(平26条例45・追加)

(立入調査等)

第13条 知事は、この条例の施行に必要な限度において、第11条の規定に違反する行為(以下「禁止行為」という。)を行い、若しくは行った疑いのある者若しくは前条の規定による届出をせず、若しくは虚偽の届出をした疑いのある者に対して、必要な報告をさせ、又はその職員に、危険薬物若しくはその疑いがある物を取り扱う場所その他必要な場所に立ち入り、帳簿書類その他の物件を調査させ、関係者に質問させ、若しくは危険薬物若しくはその疑いがある物を、試験のため必要な最少分量に限り、収去させることができる。

2 前項の規定により立入調査、質問又は収去を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(平25条例58・一部改正、平26条例45・旧第12条繰下・一部改正)

(警告)

第14条 知事は、禁止行為を行い、又は行おうとした者に対し、禁止行為を行わないよう警告を発することができる。

2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者がその法人又は人の業務に関して、禁止行為(第11条第5号に掲げる行為を除く。)を行ったときは、行為者のほか、その法人又は人に対しても、前項の警告を発するものとする。

3 第1項の警告は、書面を交付して行うものとする。

(平25条例58・一部改正、平26条例45・旧第13条繰下・一部改正)

(禁止行為の中止等の命令)

第15条 知事は、前条第1項の警告に従わない者に対し、当該禁止行為を中止し、又は危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

2 知事は、次の各号のいずれかに該当するときは、禁止行為を行った者に対し、前条第1項の警告を発することなく、当該禁止行為を中止し、又は危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を採るべきことを命ずることができる。

(1) 薬物の濫用による被害から県民の健康及び安全を守るため緊急を要する場合で、前条第1項の警告を発するいとまがないとき。

(2) 過去に前条第1項の警告を受けた者であるとき。

(平26条例45・旧第14条繰下・一部改正)

第4章 雑則

(委任)

第16条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

第5章 罰則

第17条 第15条の規定による命令(第11条第1号又は第2号に掲げる行為に係るものに限る。)に違反して禁止行為を中止せず、又は危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を採らなかった者は、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

(平26条例45・一部改正)

第18条 次の各号のいずれかに該当する者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(1) 第11条の規定に違反して危険薬物(第9条第1項第1号に規定する知事指定薬物に限る。)を製造し、栽培し、販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵し、若しくは陳列した者

(2) 第15条の規定による命令(第11条第3号から第6号までに掲げる行為に係るものに限る。)に違反して禁止行為を中止せず、又は危険薬物の廃棄、回収その他必要な措置を採らなかった者

(平26条例45・一部改正)

第19条 第13条第1項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による立入調査若しくは収去を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者は、20万円以下の罰金に処する。

(平25条例58・平26条例45・一部改正)

第20条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前3条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第10条第3項第13条及び第14条並びに第5章の規定並びに次項鳥取県青少年健全育成条例(昭和55年鳥取県条例第34号)第19条の改正規定は、平成25年7月1日から施行する。

(鳥取県青少年健全育成条例の一部改正)

2 鳥取県青少年健全育成条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(検討)

3 知事は、法令による薬物及び薬物類似物の規制の状況その他の社会環境の変化に応じ、この条例の規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要があると認めるときは、所要の措置を講ずるものとする。

附 則(平成25年条例第58号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(平成26年条例第17号)

(施行期日)

1 この条例は、平成26年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

附 則(平成26年条例第45号)

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から起算して1月を経過した日から施行する。ただし、第2条の規定及び附則第4項の規定(鳥取県青少年健全育成条例(昭和55年鳥取県条例第34号)第11条第1項第4号の改正規定を除く。)は、平成26年11月25日から施行する。

(知事指定薬物に関する経過措置)

2 改正前の鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例第2条第7号の規定により指定された知事指定薬物は、改正後の鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例第9条第1項第1号に規定する知事指定薬物とみなす。

(罰則に関する経過措置)

3 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。

(鳥取県青少年健全育成条例の一部改正)

4 鳥取県青少年健全育成条例の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

附 則(平成28年条例第58号)

この条例は、公布の日から施行する。

附 則(令和2年条例第3号)

この条例は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第63号)の施行の日から施行する。

(施行の日=令和2年4月1日(令和2年政令第39号ただし書に規定する日))

鳥取県薬物の濫用の防止に関する条例

平成25年3月26日 条例第6号

(令和2年4月1日施行)

体系情報
第5編 福祉保健/第5章 医務薬事/第3節
沿革情報
平成25年3月26日 条例第6号
平成25年10月11日 条例第58号
平成26年3月25日 条例第17号
平成26年10月17日 条例第45号
平成28年12月22日 条例第58号
令和2年1月24日 条例第3号