法令用語改正要領

〔昭和56年10月1日改正〕

第一 同音語
(A) 次のものは一般に用いられるものだけを残し、一般的でないものは、今後他の表現を考える。
規定
規程→規則
遺棄
委棄(用いない。)
詐欺
詐偽→偽り
会議
開議(用いない。たとえば、「会議を開く」とする。)
商標
証票→証明書、証片、証紙
証標→徴票、印
証憑→証拠
開示
戒示(用いない。)
正規
成規→所定
看守
監守(用いない。)
調整
調製→作成
技官
技監(用いない。)
表決
評決→議決
不正
不整(用いない。)
報奨→奨励
報償
(B) 双方ともよく用いられてまぎれやすい次のものは、そのうちの一方または、双方を一定の形に言いかえて用いる。
法令
法例→準拠法令、法令の適用関係
解任
改任→改めて任ずる、交代
保佐人
補佐人→補助者、補助人
看護
監護→監督保護
(C) 次のものは、統一して用いる。
看守
管守→保管
改定 改定
改訂
干渉
管掌→つかさどる
干渉 干渉
関渉
管理
監理→監督管理
関与 関与
干与
干預
起因
基因→基づく
規制 規制
規正
規整

規律 規律
紀律
統括 統括
統轄
経理 経理
計理
配布 配布
配付
交代 交代
更代
破棄 破棄
破毀
作成 作成
作製
表示 表示
標示
参酌 参酌
斟酌
総括 総括
総轄
主管者 主管者
主幹者
和解 和解
和諧
消却 消却
銷却
(D) 同音語でも、意味のまぎれるおそれのない下記のようなものは、そのまま用いる。
状況 状況
情況
継続
係属
(常況→常の状況)
侵害 侵害
浸害
広告
抗告
提示 提示、示す
呈示
債券
債権
提出 提出
呈出
障害
傷害
定年 定年
停年
第二 似た意味のことば
次のことばは、統一して用いる。
改定 改定
改訂
趣意 趣旨
旨趣
趣旨
交代 交代
更代
更迭
正当な理由 正当な理由
正当な事由
左の 左の
次の
証拠 証拠
証徴
憑拠
証憑

第三 意味の通じにくい、むずかしいことば
(A)  次のことばは、表現が簡単すぎてわかりにくいから、一般に通じやすい表現に改める。 隠蔽→隠す
湮滅→無くする、隠滅
汚穢→汚れ
灰燼→灰
扞止→(土砂~)止め、防止
毀壊→損なう
欺罔、欺瞞→だます
狭隘→狭い
驚愕→ 驚く
掘鑿→ 掘る
懈怠→ 怠り
喧騒→ 騒がしい、やかましい
溝渠→ 溝
誤謬→ 誤り
鎖鑰、鑰匙→かぎ
鬚髯→ ひげ
焼燬→ 焼く
牆壁→ 仕切り
塵埃→ ほこり
塵芥→ ごみ
齟齬→ 食違い
隊伍→ 隊
堆積→ 積もる
→ 祈り
紊乱→ 乱す
憫諒→ 哀れむ
編綴→ とじる、とじ合わせる
包裹→ 包み
踰越→ 越える
湧出→ わき出る
宥恕→ ゆるす
壅塞→ ふさぐ
襤褸→ ぼろ
漏泄、漏洩→漏らす
医籍→ 医師名簿
勧解→ 和解勧告、和解を勧める
監護→ 監督保護
毀棄→ 損壊又は廃棄
漁撈→ 水産動植物の採捕
誹毀→ 名誉損傷
蚕蛹→ 蚕のさなぎ
臨検→ 立入検査
(B) 次のことばは、似た意味の漢字を重ね合わせてしいてむずかしく作られているから、それぞれわかりやすい日常語に改める。
遺脱→ (判断を~)し忘れる
違背→ 違反
拐引→ かどわかす
開披→ 開く
希求→ こいねがう
具有→ 有する
戸扉→ 戸
枝条→ 枝
思料→ 考える
尽了→ 終わる
成造→ 作る
送致→ 送る、送付
蔵匿→ かくまう
盗取→ 盗む
房室→ 室、部屋
申述→ 述べる、申立て
諭示→ 示す、諭す
擁壁→ 囲い
(以下は、常用漢字表にはずれた漢字を用いたことば)

歪曲→ ゆがめる 解止(用いない。)
加功(用いない。)
河津(用いない。)
行用→ 行使
賜与(用いない。)
成丁者→ 成年者
窃用→ 盗用
代務者→ 代行者
通事→ 通訳人
売得金→ 売却代金、売上金
配賦→ 割当て
版図→ 領域
没取する→国庫に帰属させる
満限に達する→満了する
輸納→ 提出
(C)  次のことばは、わかりやすい外来語に改める。
堰堤→ ダム
汽鑵→ ボイラー
空気槽→ 空気タンク
骨牌→ かるた類
酒精→ アルコール
檣頭→ マストトップ
船渠→ ドック
端舟→ ボート
油槽→ 油タンク
(D)  その他、次のような漢語の使用は、できるだけ避けて、それぞれ他のわかりやすい表現に改める。
永期→ 長期
第四 常用漢字表にはずれた漢字を用いたことば
(A) かな書きにしても誤解のおこらない次のことばはかなで書く。この場合かなの部分に傍点をつけることはやめる。 かな書きにする際、単語の一部分だけをかなに改める方法は、できるだけ避ける。
強姦→ ごうかん
芥溜→ ごみため
昏酔→ こんすい
屠殺→ とさつ
賭博→ とばく
煉瓦→ れんが
猥褻→ わいせつ
→ わな
賄賂→ わいろ
煙草→ たばこ
以て→ もつて
→ この
→ これ
→ その
→ ため
等(ら)→ ら
あつ旋→ あつせん
と殺→ とさつ
 ただし、漢字を用いた方がわかりよい場合はこの限りでない。
あへん煙
あて名
ちんでん池
ほうろう鉄器
(B)  次のものは、常用漢字表にはずれた部分を、
それぞれ一定の他の漢字に改めて書く。
慰藉料→ 慰謝料
苑地→ 園地
外廓→ 外郭
吃水→ 喫水
饗応→ 供応
魚艙→ 魚倉

繋留→ 係留
繋船→ 係船
繋属→ 係属
闕席→ 欠席
交叉点→ 交差点
扣除→ 控除
雇傭→ 雇用
弘報→ 広報
撤水管→ 散水管
醇化→ 純化
障碍→ 障害
侵蝕→ 侵食
訊問→ 尋問
洗滌→ 洗浄
疏明→ 疎明
定繋港→ 定係港
碇泊→ 停泊
顛覆→ 転覆
破毀→ 破棄
蕃殖→ 繁殖
抛棄→ 放棄
輔助→ 補助
緬羊→ 綿羊
落磐→ 落盤
剰す→ 余す
涵養→ 養成、育成
毀損→ 損傷
覊束→ 拘束
義捐→ 救援、援助
救恤→ 救援
橋梁→ 橋
牽連→ 関連
股分→ 持分
鑿井→ 井戸掘り
卸任→ 解任
首魁→ 主謀者
唆功→ 完成
傷痍→ 傷病
塵芥焼却場→ごみ焼場、ごみ焼却場
神祠→ ほこら
蔬菜→ 野菜
稠密→ 周密
貼付→ はり付ける
牴触→ 触れる、抵触
堤塘→ 提
填補→ うめる
顛末→ 始末、事の経過
売淫→ 売春
播種→ 種まき
彼此移用→相互移用
彼此流用→相互流用
匕首→ あいくち
封緘→ 封
瘋癲者→ 精神病者
俘虜→ 捕虜
輸贏→ 勝敗
烙印→ 焼印
鄰佑→ 隣人
狼狽→ ろうばい、慌てる
(その他今後用いないもの)
(C)  次のものは、それぞれ他の一定のことばにいいかえる。
印顆→ 印形、印
淫行→ みだらな性行為
曳船→ ひき船
捺印→ 押印
隠婆→ 助産婦(*現在は「助産師」)
瑕疵→ きず、欠陥
牙保→ 周旋
陥穽→ 落し穴

溢水 (原文では

澣濯
膠沙
出捐
鍼盤
僣窃
梳理
攀越
(D) 常用漢字表にない漢字を用いた専門用語等であって、他にいいかえることばがなく、しかもかなで書くと理解することができないと認められるようなものについては、その漢字をそのまま用いてこれにふりがなをつける。

砒素

  こ
禁錮
第五 常用漢字表にあっても、かなで書くもの
おそれ
恐れ
但書→ただし書
→ほか
→また
因る→よる
且つ→かつ
従つて(接続詞)→したがつて
*従って(接続詞)→したがって (現代の促音の場合)
但し→ただし


 → 法制執務資料トップページ