「枝番号」を用いた条項の追加
法令の条項に、「第○条の2」「第○号の5」といった「
枝番号」が振られていることがあります。
これは条項の追加の際に、後方の条項の繰下げを避けるために用いられるもので、いわば、「
削除」と対になるものです。
通常の追加
条項を追加するときの改正手法としては、
「加える」を用います
。
加える先が条項の途中であった場合、追加に先立って、続く条項の番号を繰り下げ、番号を空けることになっています。
次の例のように、第10条から第13条まである場合に、第10条の後ろ(第11条の位置)に新たに条を加えるときは、事前に、第11条から第13条までについて、番号(条名)を繰り下げる改正が必要になります。
第10条 ・・・・・・
← 第11条 ・・・・・・
第11条第12条 ・・・・・・
第12条第13条 ・・・・・・
第13条第14条 ・・・・・・ |
この場合の改め文は次のようになります。
第13条を第14条とし、第12条を第13条とし、第11条を第12条とし、第10条の次に(同条の前に)次の1条を加える。
第11条 ・・・・・・
このように、条項を加える場合、その条項が一連の条項の途中にあるときには、後方の条項の繰り下げが必要となります。こうした条項の移動を、通称としては「条ずれ」「項ずれ」或いは総称して「条項ずれ」等と呼びます。
「枝番号」による追加
条項の追加により条項ずれが生じると、ずれた条項を引用している箇所を、全て改正せねばなりません。そのため、条項の追加による条項ずれの影響が大きい場合には、できるだけ条項ずれをさせずに済ませたいこともあります。
そのような場合には、加える際に"第○条の2"といった「枝番号」の条項を用いる手法があります。枝番号による追加は、通常の番号には影響しないため、繰り下げによる条項ずれが起きません。
次の例のように、第10条の後ろに「第10条の2」として新たな条を追加しても、第11条以降を繰り下げる必要は生じません。
第10条 ・・・・・・
第10条の2 ・・・・・・ 第11条 ・・・・・・
第12条 ・・・・・・
第13条 ・・・・・・ |
この場合の改め文は次のようになります。
第10条の次に次の1条を加える。
第10条の2 ・・・・・・
このようにして、後方の条項の条項ずれを起こさずに、途中に条項を追加することができます。同様の考え方から、「第○条の2の2」といった「孫番号」と呼ばれるものも存在します。なお、「枝番号」は、条項ずれを避ける都合で用いるものに過ぎず、枝番号を振られた条項と親番号の条項との意味上の関連はありません。
また、「枝番号」は、条のほか、号、別表、別記様式、章等でも用いることができますが、
項においては用いることはできない、とされています(その理由は、項は条文中の段落に過ぎないためである、とされています。
「削除」に改める手法
と同様です。)。
『じょうれいくん』では、編集画面右端の「枝番変更」ボタンにより、追加した条項を枝番号に変更し、条項ずれを無くすことができます。
《参考》
参議院法制局 法制執務コラム集「条の枝番号と削除」
以上