＜�@ 改正内容はわかりやすいが、行わないとされる改正手法＞
　まず、改正内容を素直に考えると、やはり次のような改正手法が考えられます。

現在		改正案
第10条　○○○○○。		第10条　○○○○○。
	追加	第11条　◎◎◎◎◎。
第11条　△△△△△。	繰下げ	第12条　△△△△△。
第12条　□□□□□。	全部改正 ・繰下げ	第13条　■■■■■。
第13条　◇◇◇◇◇。		第14条　◇◇◇◇◇。

　仮にこのような改正を行うとすれば、改め文は次のようになります。 　この手法だと改め文の作成は容易であり、また条項の対応関係もわかりやすくなりますが、一度改正した条項の二度引き（この場合は第12条の全部改正と繰下げ）を避けるため、このように全部改正した条を繰り下げる改正はしないとされています。
　ただ、実際には、特に自治体においては全部改正した条項を二度引きして繰下げた例はよくあり、また、法律でもしばしば見受けられる ことは、追加する条項の直後の条項を全部改正しつつ繰り下げる場合�@ で説明したとおりです。
　なお、前方から順に改正していく原則によれば、改め文は次のような改正順序にはならないはずですが、法律ではこうした順序も見られ、『じょうれいくん』で自動作成される改め文も、繰上げ・繰下げのある条項の改正は移動の際に併せて行う仕様であるため、こうした順序になってしまいます。
＜『じょうれいくん』による場合の改め文＞

＜�A 法制執務における模範的な改正手法＞
　法制執務においては、

• 二度引き（同じ条項を一つの改正の中で二度改正すること）を避ける。 
• 改め文をできるだけ簡潔にする。

　という要請があるため、このような改正を行う場合、次のような改正手法をとるとされています。

現在		改正案
第10条　○○○○○。		第10条　○○○○○。
	追加	第11条　◎◎◎◎◎。
第11条　△△△△△。	繰下げ	第12条　△△△△△。
第12条　□□□□□。	削る
	追加	第13条　■■■■■。
第13条　◇◇◇◇◇。		第14条　◇◇◇◇◇。

　第12条は全部改正せずに削り、第12条が繰り下がるはずだった位置に第13条を新しく追加します。改め文は次のようになります。
　ただ、追加・削る・繰り下げるの組み合わせとなり、改め文の作成は複雑になります。

＜�B 一連の条項の全部改正と追加で対応する改正手法＞
　一連の条項を全部改正し、最後に増分の条項を追加する手法です。　　　

現在		改正案
第10条　○○○○○。		第10条　○○○○○。
第11条　△△△△△。	全部改正	第11条　◎◎◎◎◎。
第12条　□□□□□。	全部改正	第12条　△△△△△。
	追加	第13条　■■■■■。
第13条　◇◇◇◇◇。		第14条　◇◇◇◇◇。

　改め文は次のようになります。
　改め文の作成は容易ですが、一連の条項を全部改正すると、条項が大きいときに改め文も増えてしまうという問題があります。そのため、法制執務においては、この場合はこの手法はとらないとされています。
　なお、法律では、号の改正においてわずかながら、この手法と類似の事例 が見られます（条や項の改正においては未確認。）ので、号のように全部改正の改め文部分が短い場合には、有用と思われます。
　また、移動しつつ全部改正する条項が多数となる場合には、改め文が複雑になるのを避けるために、この手法をとることも考えられます。

　＜�C 今は行われない改正手法＞
　なお、古い法令の改正手法によれば次のようになると思われます。

現在		改正案
第10条　○○○○○。		第10条　○○○○○。
	追加	第11条　◎◎◎◎◎。
第11条　△△△△△。	繰下げ	第12条　△△△△△。
第12条　□□□□□。	条名ごと 全部改正	第13条　■■■■■。
第13条　◇◇◇◇◇。		第14条　◇◇◇◇◇。

　改め文は次のようになります。 　しかしこれは、追加する条項の直後の条項を全部改正しつつ繰り下げる場合�Cと同様に、今は行われていない手法です。